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大阪市 住まいのガイドブック あんじゅ

シェアサイクルで自転車旅。まちがイキイキ見えてきた。-東淀川区-

春の気候は、まさに自転車日和。目的地に向かう途中も楽しい気分になりますね。30年前に、大阪市の文化財調査(まちなみ)のために自転車で大阪市内を駆け巡った植松さんと、「歴史の散歩道」(淀川・江口コース)を参考に、まち探索に出かけました。

 

今回の登場人物

植松清志さん
一級建築士。近世・近代の大阪の建築や都市史の研究のほか、民家調査や登録文化財申請などに従事。
本藤さん
自転車旅に同行する住まい情報センタースタッフ。自転車旅初チャレンジ!

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  1. 天神橋七丁目で自転車をレンタルしてスタート
  2. 北大阪サイクルライン
    大阪市北区から、終点の千里万博公園まで約20km続く自転車・歩行者専用のサイクリングロード。淀川沿いに走ると視界が開けて、なんともいえぬ開放感!河川敷では釣りや凧あげ、草野球にいそしむ人に出会うことも。
  3. 豊里大橋
    淀川の北部と南部を繋ぐ大橋。ワイヤーが張り巡らされたスタイルの「ヤジロベエ橋」は、当時日本一の豪華さを誇った。豊里大橋を北に越えて振り返ると、梅田のビル群が遠くに霞んで、都平田の渡し跡 会から離れた旅気分が味わえる。
  4. 平田(へいた)の渡し跡
    日本万国博覧会を迎えた1970年に豊里大橋が完成。それまで約300年間、淀川で地域住民の生活の足として活躍していたのが「渡し」だった。淀川には他にも15か所ほど、渡し船が運行していた。
    豊里大橋旭区側に
  5. 大宮
    聖徳太子が、当初四天王寺の建立を考えていたといういわれがある。しかし当時、この地は洪水が多く実現しなかった。まちの中で樹木の生い茂る場所があれば、それは神社がある目印!各地区に神社はあるので、自分が住むまちの神社へもぜひ足を運んでみよう。
  6. 大隅神社
    古代この辺りの淀川河口には土砂が堆積し、たくさんの島が形成されていた。その一つ大隅島に建てられた神社。拝殿の前に5組並べられた狛犬は壮観。台座には明和、嘉永、天保の文字が。1体1体表情豊かで見比べると面白い。
  7. 逆巻の地蔵尊
    もともと暴れ川だった淀川。淀川沿いにあった阪巻村は流れが激しく、船の転覆などで出た多くの犠牲者の冥福を祈願した地蔵尊。淀川の改修工事により、大正12年(1923)に当地に移され、今も地域で親しまれる。
    歴史の散歩道サイン柱
  8. 寂光寺(江口の君堂)
    この江口の地が、「遊女の里」として栄えたのは平安時代初め頃。平安京の玄関口として船が行き交い、人が集まる盛り場だった。小さなお堂は、寄せ棟の屋根と下屋の間隔がせまい変わった形式。
  9. なにわ自転車道
    旭区の淀川右岸から神崎川沿いに、大阪市の北端部を東西にめぐる約21.6kmの自転車道。北大阪サイクルラインとつないでサイクリングする人も多い。川の両岸には住宅街が広がり、犬の散歩やランニングなど地域で育まれる日常を垣間見ることができる。
    番田水門
  10. 松山神社
    太宰府に流された菅原道真が、当地に立ち寄り詩を吟じたといういわれがある。本殿裏の、神が宿るとされる「天津磐座」や、正面に大きな千鳥破風を備えた拝殿の銅板葺き屋根は見どころ。
  11. 瑞光寺(雪鯨橋)
    聖徳太子が創建したといういわれがある。境内には、欄干が鯨の骨で作られた「雪鯨橋」がある。当寺の潭住禅師が南紀に行脚した際、不漁に苦しむ村人のために祈願し、その謝恩で贈られた鯨骨を供養として作ったという。
  12. 春日神社
    榊の大木を神木として崇敬し、神体として祀った神社。奈良春日大社を本殿として分霊を迎えた小規模な神社。境内には、「日露戦役記念碑」もあり、現在に至る歴史の重みを感じられる。
  13. 菅原天満宮
    樹齢約400年の大阪市保存樹のクスノキがある。菅原道真を祭神とし、榊の巨木を神木として尊崇されている。天保の頃「堤防崩壊禁止令」が出され、境内は一段高い小丘陵になっている。秋には、「砂持ち神事」(大阪市無形民俗文化財)が行なわれ、隣地の幼稚園児により清められた砂が、天秤棒で担ぎ入れられる。
    大阪市保存樹
  14. 亀岡街道と一柳家(いちりゅうけ)の土塀
    中島大水道開削の責任者一柳太郎兵衛を祖とする一柳家の土塀は、江戸時代の瓦が塗りこめられた当時を偲ばせる貴重なもの。その脇には、「亀岡街道」と「瑞光寺」と刻まれた道標(天保7年[1836]建立)がある。
  15. 道標
    亀岡街道は、大阪から吹田を経由し、北摂山地を通って亀岡市に至る。当時、年貢米や酒造米などが輸送され、牛馬や人の往来で賑わっていた。道標(文政12年[1815] 建立)に刻まれた流麗な文字から、文化の熟成が読み取れると植松さん。
  16. 柴島神社、柴島城跡
    貞永元年(1232)の大洪水により、漂着した柴の束に乗った小祠を祭ったのが起源という。西国から京都への重要拠点であった当地は、戦略的に重視され、細川・三好氏などが拠った城跡として知られる。
    柴島城跡
  17. 水道記念館
    建築家宗兵蔵によって、大正3年(1914)に「送水ポンプ場」として設計された。平成7年(1995)からは水道記念館として用いられ、平成11年に国の登録有形文化財となる。
  18. 天神橋七丁目で自転車を返却してゴール

自転車旅を終えた本藤さん感想

「数時間でこんなにたくさんのスポットを巡れたのは、小回りが利く自転車のおかげ。15年間大阪市内に住んでいるのに、東淀川区を巡ったのは初めてでした。神社や古い建物がこんなに多いことにもびっくり!淀川の周辺は宝の山。他のエリアも開拓してみたいです。」

今回ルートの参考にした「歴史の散歩道」は大阪市内全5コース。
ぜひご自身でもお好きなコースを巡ってみてください。