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大阪市 住まいのガイドブック あんじゅ

空き家カフェ〈生野区〉 空家のことを気軽に話そう

「空家についてあまり深刻に捉えていなかったけれど、よく知ると深い問題だとわかった」と語ったのは、生野区で工務店を営む木村貴一(きむらたかいち)さん。毎月19日に空き家カフェを開催している。

 

「今日は参加者が少なめ。所有者さんや若い世代の人たちの声も聞きたい」と木村さん。

 

木村さんらが開催する「空き家カフェ」には、建築士といった専門家だけでなく、空家を活用したいと考えている人や空家の所有者、生野区役所職員など多様な立場の人が参加する。毎回参加する人もいれば、活動を知って1度だけ参加する人もいるという。話し合うテーマや持ち込まれる相談は参加者によって毎回異なる。

 

木村さんは戦前から続く工務店の3代目であり、空き家カフェを引っ張る存在。

 

「空き家カフェ」を始めたきっかけの一つが、2015年に生野区が開催した「空き家リノベーション アイデアコンクール」。コンクールを通して出会った地域の人たちが中心となって、空家をキーワードにまちづくりを考え模索する場が必要だと「空き家カフェ」を立ち上げた。空家について気軽に語り合える場を開き続け、まもなく開催80回目を迎える。

 

空家の活用を決めた人から改修工事や補助金についての相談を受けることもある。前出のきたつランドはKISA2隊の小林さんが「空き家カフェ」に相談し、木村さんらが耐震改修工事や補助制度の申請などに携わった。「きたつランドは、顔と顔の見える形で貸したいという所有者さんの思いも大切にしてマッチングが実現しました。補助制度の耐震性能基準をクリアするための苦労などはありましたが、とてもうまくいった事例です」と木村さんは言う。

 

長年参加しているという建築士の北村泰之(きたむらやすゆき)さん(左)、生野区でドーナツ店を営む山田康夫(やまだやすお)さん(中)、「一般人の私が空家を見つけるのはなかなか難しい」と語ったのは、服作りのアトリエにできる空家を探している松崎清美(まつざききよみ)さん(右)。

 

賃貸に出して本当に借り手がつくのか、改修・修繕費用を捻出して回収できるのかなど、所有者の抱える不安も大きい。「補助金は専門家以外にも認知度が上がってきたように感じますが、たくさんあるので全ての情報を知るのは難しい。所有者も活用したい人も、相談したい時に相談できるコミュニティがたくさんあればいいのに」と木村さん。今後は小学校や公民館、行政施設などいろいろな場所で「出張空き家カフェ」を開きたいと考えている。

 

大阪市空家利活用改修補助事業について

空家の利活用に向け、改修前に状態を調べるインスペクション(既存住宅状況調査)や、住宅の性能向上に資する改修、地域まちづくりに資する改修に対して補助を行う制度です。【住宅再生型】【地域まちづくり活用型】の2種類があり、補助要件の確認や申請手続きは都市整備局耐震・密集市街地整備受付窓口(大阪市立住まい情報センター4階5番窓口)、地域まちづくり活用型の補助対象となる活動団体や活動内容かどうかについては、空家の所在する区役所が窓口となっています。

 

木村工務店の1階には駐車場を改装してつくったコミュニティスペース「まちのえんがわ」がある。