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大阪市 住まいのガイドブック あんじゅ
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学生のアイデアが活かされた、オープンリビング! 「長屋に生きがいをもらいました」 長屋人 須谷 雅子さん

 長屋を活かそうとする際に大家さんの理解と協力は、重要だ。昭和8年に建てられた大阪市生野区の須栄広長屋の大家である須谷雅子さんが改修に踏み切ったきっかけは、オープンナガヤ大阪への参加だった。活き活きと再生している豊崎長屋を見て、一念発起。4軒の空家を大阪市立大学の先生と学生、工務店に企画から施工まで全てを預けることにした。

 2012年には、シェアしながら暮らせる4軒長屋が完成。特徴的なのは、1階の一部にキッチン付きのオープンリビングを設けたところにある。「最初は不安もありましたが、100人のうち1人に住みたいと言われたらいい、私も若かったら住んでみたいと思えたので、チャレンジしました」と須谷さん。蓋を開けてみると、シェアは大成功。リビングでは、毎週のように住人や会社の仲間が集まる食事会や、映画上映会やワークショップなどが行われている。人が出入りすることで、場所の魅力が口コミで広がり、入居希望者が自然とみつかる良い循環も生まれている。

 2016年には、設計事務所やショップ兼住宅など3軒の長屋を次々にオープン。現在も1軒新規の改修を考えていたりと須谷さんは積極的だ。「長屋にはまちのネットワークがすごくあるんですよね。会社から帰る時に、近所で夕涼みしているおばあちゃんが『お姉ちゃんおかえり』と言ってくれたと、長屋住人さんが感激して話しながら泣くんです。こちらまでもらい泣きしちゃって。帰った時に部屋の明かりがついていたり、同じ長屋に住んでいるメンバーが味噌汁を作ってくれている匂いなど、五感から生きている実感を得られるそうです。そんな話を聞くと、改修してよかったと思います。今では私が生きがいをもらっている感覚です」。

 

須谷雅子さん

 

須栄広長屋にオープンした、アンティークと盆栽の店「antique totto」。

 

梁と欄間の残る空間で働く、設計事務所のスタッフさん。オープンリビング。交流が多数生まれる場に。