ページの先頭へ
大阪市 住まいのガイドブック あんじゅ

繁栄した大大阪時代の建物

大阪くらしの今昔館:
旧大阪市庁のステンドグラスとシャンデリア

1925年、大阪市は周辺地域を合併して人口はニューヨークやパリに次ぐ世界6位の大都市になった。大阪が近代都市に生まれ変わり、「大大阪時代」が始まる。大阪の都市建設を担うため、建築や土木の技術者を養成したのが関西工学専修学校(現在の学校法人常翔学園)である。

 

 

企画展
「大大阪モダニズム」
2018年

同校の創設者の一人である片岡安は、關一市長の片腕として大阪の都市計画を立案した。その業績は「常翔歴史館」で顕彰されている。同館と今昔館が共催した企画展「大大阪モダニズム」は、建築家・片岡安の仕事に光をあてたものだ。この展覧会では「大大阪」を彩った建築や土木構築物に関する建築図面や絵画が展示された。

 

常翔歴史館:大阪市旭区大宮5丁目16-1☎06-6955-7762
(上)常翔学園の歴史を物語る実物資料「過去の技術を形として残すことが、新しい技術開発に活きるのです」と館長の松浦清教授
(中)「關市長と片岡安が尽力したからこそ、今の御堂筋があるのです」と谷館長
(下)大阪工業大学・大宮キャンパス正面の校門は、
片岡安・実施設計の「大阪市中央公会堂」を模した造り

 

取材当日は企画展「歌い継がれる校歌」が展示されていた

【 企画展のお知らせ】
花園を彩った「協心」と「戮力(りくりょく)」〜学園2高校のラグビー史〜
期間:2020年12月7日(月)〜2021年1月29日(金)

大大阪の建設に大きな役割を果たした土木建築業の一つが、大阪生まれのゼネコン・大林組である。「大林組歴史館」は1926年竣工のルポンドシエルビル(大林組旧本店ビル)の3階にある。地下鉄、大阪城天守閣などの建設当時の写真展示があり、大阪の土木建築業界の高い技術力がうかがえる。

大林組歴史館:大阪市中央区北浜東6-9ルポンドシエルビル3F☎06-6946-4626
(右上)大林組旧本店の雰囲気を今に残すエントランス
(左上)ダイビル本館の壁面上部を彩っていたテラコッタタイル
(中)1892年創業時の店舗の屋根を飾っていた鬼瓦(実物)中央に「大林」の文字
(下)「時代を象徴する建物の歴史を楽しんでください」と荒田智康氏
1926年竣工のルポンドシエルビル
今昔館に寄贈された
加島屋・廣岡家の雛人形

商都大阪を華やかにデザインした建築家の一人が、ウィリアム・メレル・ヴォーリズである。彼は関西を中心に1500余りの建物を設計し、大阪でも大丸心斎橋本店や大同生命旧肥後橋本社などの作品がある。「大同生命メモリアルホール」は、ヴォーリズが設計した旧館の意匠を現代建築に溶け込ませ、新たな魅力を放っている。「大坂では鴻池と並び称される豪商であった加島屋と大坂蔵屋敷との関係を示す展示資料は貴重です。それだけでなく建築空間の迫力も体感できま」(谷)。

大同生命メモリアルホール:大阪市西区江戸堀1丁目2-1☎06-6447-6258
(上)旧本社ビルの光天井をそのまま移築したエントランスの天井
(中上)2階ホールには、大同生命の源流である加島屋(廣岡家)に関する歴史文書が展示
(中下)「連続テレビ小説『あさが来た』の主人公のモデル・廣岡浅子の
特別展示も開催しています」と郡清隆氏【左】
(下)土方歳三が廣岡久右衛門に宛てた400両の借用書
屋上にあった教会の尖塔を模した装飾の「ピナクル」は、車止めなどのデザインとして、いまは地上に設置されている