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大阪市 住まいのガイドブック あんじゅ

Come on UP 新大阪-朱・宙-(淀川区)多様性の中で育まれる、新しい〝家〞のかたち

 時には家族のように、時には他人のように、時には親友のように。同じ空間に暮らし、偽らない素の自分で過ごす日常の中で築かれていく関係性がシェアハウスにはある。「様々なバックグラウンドを持った人が、自然に交流しあって成長できる場だ」と、全国で30軒以上のシェアハウスを運営する有限会社Come onUPの代表永瀬泰子さんは話す。

 シェアハウスごとに、家の雰囲気は変わる。住む人によって、ルール、コミュニケーションの築かれ方は全く変わるからだ。ハウスの定員は5~9名の少人数。気が合う合わないの区別なく、全員と関われるサイズはコミュニケーションが円滑に育まれる秘訣だそう。近隣地域と住人の関係も自然体で、住人が通う自転車屋や近所の飲食店の店員が、ホームパーティに参加することもある。当たり前の日常の中で、人間関係が広がっている。

 そんなCome on UPのシェアハウスの中に、多様な働き方が増えている今、仕事と暮らしを融合させてみようという実験的な試みのハウスが新大阪にある。ビルの6階、8階がシェアハウス「朱(あか)・宙(そら)」で、7階には24時間利用できるコワーキングスペース「Crossing」が付いている。「他業種の人と情報交換したり、資格の勉強をしたり。ステップアップしようとする人にとって、新しくフィールドが広がるきっかけになれば嬉しい」とスタッフの前田政哉さんは話す。住人同士、互いに頑張る姿が見えること自体が心の支えになる。交流をきっかけに新しい仕事も生まれている。地方の活性化に関わりたいという目的で、都市部での活動拠点として活用する住人もいるそうだ。

 スタッフが一番嬉しいのは、シェアハウスの元住人が、また〝家〞に帰りたいと言ってくれる時だという。同じ釜の飯を食う関係性は強い。互いに自立し、認め合い、家族という柱だけではない、複数の柱で支え合い成り立つ〝家〞なのだ。暮らしも仕事も、高め合える関係性。時代が進み需要も変化し、さらに新しいシェアハウスの形も生まれていきそうだ。

 

シェアハウス内のコミュニケーションを円滑にさせるコツは、ハード面にもある。家に帰って部屋に入る時に、帰ってきた人がリビングから見えるようにすることで、「おかえり」と言いやすくしたり、キッチンで料理をしている人とリビングにいる人が顔を見て会話できるように家具を配置したりする。

 

住人とスタッフの皆さん。左から加藤弥生さん、平井昇太さん、田中元気さん、前田政哉さん、石川直道さん、村山葵さん。シェアハウスの住人である石川さんはスタッフに。住人の方から広がった人脈でどんどん夢に近づいているエピソードも。

 

新大阪「朱」の撮影時にひょっこり姿を現した住人の田中さん。歯みがき最中も快く撮影に応じてくれた。

 

24時間利用できるコワーキングスペース「Crossing」の様子。