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大阪市 住まいのガイドブック あんじゅ

商都慕情Ⅱ ―水のまち大阪を巡る―

錦絵「浪速天満祭」 歌川貞秀画

かつて水運を利用して発展し、「水都」と呼ばれた大阪。

江戸時代から近代にかけては、川と橋が商業や生活の場であり、文化が生み出される舞台にもなりました。

近年その魅力を見直し、水辺の生活を活気ある賑やかな場へと再生するための様々なプロジェクトが行われています。

大阪くらしの今昔館では水のまち大阪の様相を、所蔵品を手掛かりにご覧いただく企画展「商都慕情Ⅱ」を開催中です。

(11月14日まで)この展覧会は平成30年に開催し、「大阪の魅力を再発見できた」と好評を得た企画展「商都慕情」の続編となります。

 

江戸時代、大阪の市中には堀川が網目のように張り巡らされ、そこに多くの橋が架かっていたことから「八百八橋」と称されました。

風の通る橋上や船の上は町人にとって夕涼みや花火見物を楽しむ憩いの場になりました。

夏を迎えるにあたって行われるのは天神祭です。

夏祭りには、都市部で流行する病をはらう願いが込められています。

大川を舞台に繰り広げられる船渡御の賑わいは江戸の浮世絵師歌川貞秀による錦絵からも感じられます。

 

『淀川両岸帖』のうち「浪華天満橋」庭山耕園

京都と大阪を結び、人や物資が往来する動脈として役目を果たしたのは淀川でした。

伏見から天満橋までの両岸の光景を描いた絵の中では、円山応挙による絵巻「淀川両岸図巻※」がよく知られています。

(※公益財団法人アルカンシエール財団蔵、なお、本作品は展示いたしません)

この絵巻を持ち主である日本財界の重鎮・原六郎から大阪の経済界を代表する一人である田中太一が昭和初期に借り出して、大阪の絵師に伏見から浪華天満橋までの6つの場面を模写させていました。

それが庭山耕園とその門人らによる『淀川両岸帖』です。

 

本展では2020年に新たに収蔵したこの作品を中心に、大阪の景観を描いた所蔵品のうち、特に水辺の風景に注目した作品をご覧いただきます。

水都大阪の情景巡りをお楽しみください。  

 

服部 麻衣(大阪くらしの今昔館学芸員)

 

企画展の内容はこちらからご確認ください。