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大阪市 住まいのガイドブック あんじゅ

誌面セミナー 住まいを購入する「売買契約書」

不動産取引における「契約書」には、何がどのように記載されているのでしょうか。契約締結する前に、しっかりと「契約書」を読み込むことがトラブル防止には欠かせません。慎重に準備するためのポイントを紹介します。

 

教えてくれたのは

一般社団法人大阪府宅地建物取引業協会 
研修インストラクター 
渡邉和英(わたなべ かずひで)さん

 

約束事は全て契約書に記載しておく

 不動産取引は一件ごとに物件も取引条件も異なり、内容は複雑で多岐にわたります。「重要事項説明」の記載内容が、「契約書」と相違する点がないかを確認します。さらに、物件の特性などによって必要となる取り決めについては、細かい点まで記載されているかを確認することが重要です。

 「契約書」という書面を作成しておくことで、その内容をいつでも確認することができます。トラブルが起きてしまい、裁判になった場合には証拠書類となります。口約束だけでは無かったことにされてしまう可能性があるので、契約書に何が記載され、何が記載されていないのか、きちんと理解しておく必要があります。

 

契約書の構成

 「契約書」は次の4つの部分で構成されています。不動産団体、物件、売主ごとに様々なひな型がありますが、記載される項目や条項など全体の構成は概ね同じです。

 

■ 標記(一覧表)

 登記に基づいた土地の所在や面積、売買代金、手付金、取引期日などの重要項目の一覧。住宅ローンや、建物状況調査についても記載する。

 

■ 条項(条文)

 売主、買主双方の権利と義務を明記した部分。手付金、売買代金の支払い時期や方法、所有権の移転、引渡し、契約解除方法などについて記載。

 

■ 特約(特記)

 条項に記載されていない特別な約束(特約)、物件特性によって生じる条件などを詳細に記載する。

 

■ 署名・捺印(記名・押印)

 売主、買主、宅建(媒介)業者、宅地建物取引士の記載欄がある。

 

特約条項を詳細に記載してトラブル防止

 「契約書」の中で特に重要なのが、売買代金・契約解除・特約の部分です。重要事項説明と同じく、契約解除の方法や条件などを確認しましょう。

 特約条項には、定型文で記載された条項では明確にならない、特約や売主、買主双方の承諾事項などを記載します。契約書の中で最も重要な部分です。

 例えば、引渡しが最終決済日ではない場合の条件、希望する利率で融資が受けられなかった場合の契約解除方法、既存物件における不具合への対応条件などを具体的に詳しく記載します。売主も買主も納得がいくまで話し合い、細かい条件まで記載しておくことがトラブル防止につながります。

 契約を締結することで関係者には権利と義務が発生し、安易な解除はできなくなります。締結前に契約書案を入手して、記載されている物件情報や様々な条件などを理解しておきましょう。複雑で多岐にわたるため、確認するのは大変なことですが、契約締結までの過程を慎重に進めることが重要です。