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【トークセッション】 愛着を持てる賃貸集合住宅を考える



登壇者(左から)
髙田 光雄 氏
枇杷 健一 氏
宮部 浩幸 氏
愛着を持てる賃貸住宅を探す方法
- 髙田 このセッションでは賃貸住宅・大阪・愛着・リノベーションをキーワードに、会場のみなさんから頂いた質問にお答えできればと思います。まずは「オーナーが愛着を持っている賃貸住宅に住みたい。どうやったら出会えるのか」という質問です。
- 宮部 大阪にお住まいなら大阪R不動産で探すのが最短ルートだと思います。まちや建築への愛を発信しているような不動産屋さんを見つけるといいかもしれません。
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枇杷 例えば、エントランスホールの掲示板やゴミ置き場の様子、植物の様子など、共用部の細やかな部分に愛着が紐づいています。物件を見る時にはデザインがどうかよりも、そういった点を見るとよいかもしれません。R不動産はSNSなどでも発信していますが、まだまだ知られていません。
- 髙田 SNSやインターネット以外でもマニアックな物件を見つける方法が広がるといいですね。
ハウジングデザイン賞の転換点となる作品
- 髙田 今回のハウジングデザイン賞では、新築も受賞しましたが、リノベーション物件や管理、持続的な価値に対する表彰が特徴となりました。ストックの時代になり、新築もまちの中でどう育つのかを重視する観点が審査員のみなさんにありました。ハウジングデザイン賞にとっても転換点になりますし、今後はストックに軸足を置いた住まいが必要ではないでしょうか。枇杷さんが紹介された受賞作も高い稼働率を維持されていると聞いて嬉しく思っています。
- 枇杷 リノベーションを長くやってきた中で、ストックや周辺エリアに想いを馳せることは前提となっています。その方法論をずっと言語化できずにいたのですが、宮部さんの「建築のリレー」がそれだと思いました。
- 宮部 枇杷さんと考え方が共通する部分は多いです。騒音があるなら音出しOKにする、まちの変化を捉えたプロジェクトなど、一見ネガティブな状況をポジティブに捉えることで企画を生む点が面白いですね。
記憶の継承と未来の変化を見据えて
- 髙田 「認知症の方の記憶の忘却にリノベーションで抗う事ができるのか」という質問もあるのですが、いかがでしょうか。
- 宮部 同僚から聞いた話ですが、認知症の方が施設で自分の部屋がわからなくなるけれど、扉を家っぽくすると戻れるという研究があるそうです。自宅の扉を持ち込める施設もあるらしいので、リノベーションは有効かもしれません。
- 髙田 ドアも含め、素材の質感とリノベーションの関係についてはどうでしょうか。
- 宮部 外側は必ずメンテナンスが必要になるので経年変化がポジティブに捉えられるものを選びます。内側は感覚的な判断になりますが、不潔と清潔で線引きをして選んでいます。
- 枇杷 宮部さんと同じです。加えるなら、ストックをよく観察して強い素材に変更してリレーに備えるという選び方です。
- 髙田 最後に、賃貸住宅市場やリノベーションの今後はどうお考えでしょうか。
- 枇杷 リノベーションの需要は高まっています。分譲価格の上昇から賃貸住宅に期待が寄せられている実感があります。
- 宮部 賃貸価格は分譲から少し遅れて上昇していくはずなので、その時にどうするか……。建築、不動産業界だけでなく、賃上げなども含め社会全体で考えるべき課題だと思います。
- 髙田 リノベーションの力を使い、ビジネスと連動した形で賃貸住宅の供給システムが成り立っていくとよいですね。二人のお話から記憶の継承から未来の変化まで時間軸を通して考えることの重要性を改めて感じました。本日はありがとうございました。
コーディネーター
髙田 光雄(たかだ みつお)氏
1951年京都市生まれ。専門は、建築計画学、居住空間学。居住文化を育む住まい・まちづくりの実践的研究を継続。(公社)都市住宅学会会長、(公財)京都市景観・まちづくりセンター理事長、(一社)京都府建築士会会長などを歴任。共著書に「超高層住宅の未来絵図」(技報堂出版)、「安心・安全から考える建築企画入門」(丸善出版)など。計画作品に、「実験集合住宅NEXT21」、「平成の京町家 東山八坂通」など。受賞に日本建築学会賞、日本建築学会作品選奨、都市住宅学会賞、日本建築士会連合会賞、住生活月間国土交通大臣表彰など。
第38回 大阪市ハウジングデザイン賞表彰式
第38回大阪市ハウジングデザイン賞表彰式を行いました。358件の応募の内、1件が大阪市ハウジングデザイン賞、3件が大阪市ハウジングデザイン賞特別賞(特定の分野において特に優れているもの)を受賞しました。
ハウジングデザイン賞に選定された「LIB MARK minamihorie」は、西区で約20年前に建設された賃貸住宅の改修事例で、2戸1化などの改善を入居者の協力も得ながら実施している点が評価されました。ハウジングデザイン賞特別賞に選定された「しきの音 伶人」は、天王寺区に建つ新築コーポラティブ住宅で、「都住創」の遺伝子を継承しつつ、多くの困難を乗り越えて実現した過程とその成果が評価されました。同じく特別賞に選定された「リブウッド大阪城」は、都島区に建つ新築事務所併存賃貸住宅で、3階までを鉄骨造、4階〜8階を木造とし、中高層木造集合住宅の可能性を探究した意義が評価されました。同じく特別賞に選定された「スペースブロック上新庄」は、東淀川区に建つ築27年の個性的なデザインの賃貸住宅ですが、建物に愛着を持ち維持管理を続ける所有者と、独特の居住空間をうまく住みこなす居住者によって健全に維持されている点が評価されました。
受賞住宅
■第38回大阪市ハウジングデザイン賞
・LIB MARK minamihorie(西区南堀江4丁目・改造・賃貸)
■第38回大阪市ハウジングデザイン賞特別賞
・しきの音 伶人(天王寺区伶人町・新築・コーポラティブ)
・リブウッド大阪城(都島区片町1丁目・新築・賃貸)
・スペースブロック上新庄(東淀川区豊新3丁目・維持管理・賃貸)