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借りて暮らす大阪 ー愛着の持てるリノベーションー
本作《蔬菜図》は、大阪の絵師西山完瑛によって描かれた、身近な野菜を集めた作品です。「蔬菜」とは栽培された野菜のことを指しますが、この絵には自然の中に自生する山菜も含まれています。
画面には、早春の土筆・山葵にはじまり、春の山うど・筍、初夏のそら豆、夏の水ナス・白瓜・胡瓜・万願寺唐辛子・茗荷。夏の終わりの南瓜、秋の松茸など茸類、冬の人参・薩摩芋・大根・百合根・慈姑・柚子、正月の縁起物として食されるチョロギなど、身近な蔬菜が25種類描かれています。一見、無造作に蔬菜を並べて写生したように見えますが、実際には一年を通して収穫される品々を、作者が自然に見えるよう想像の中で配置し描いたものです。
個々の蔬菜の表現に注目すると、輪郭を肥痩のある墨線で大胆にとらえたものと、輪郭を用いない没骨法による表現が併用され、それぞれの特徴が的確に描き分けられています。淡い色彩がみずみずしく、自然の恵みの魅力を描き出そうとする姿勢が感じられます。
作者の西山完瑛は四条派の絵師である西山芳園の子として大坂に生まれ、父から絵を教えられ、儒学を後藤松陰の門に学びました。花鳥画や人物画、名所絵などを得意としました。門下には望月金鳳、武部白鳳らがいます。制作年は画中の年記に「明辰初秋 完瑛写」とあり、明治時代の辰年に描かれたことがわかります。完瑛の生没年から明治37年を除くと、明治元年・13年・25年のいずれかの制作と考えられます。さらに、完瑛の没後である明治38年には、弟子の白鳳が箱書を記しており、本作を師・完瑛の真作として認めています。
服部 麻衣(大阪くらしの今昔館学芸員)