ページの先頭へ
大阪市 住まいのガイドブック あんじゅ

防災まち歩き 此花区の川と水門を巡る

 避難場所や避難経路を確認しておくことは、災害への備えとして大切なことの一つです。防災訓練のほかにも、防災の視点でまちを歩くといろいろと見えてくることがあります。そこで、防災士の多田裕亮(ただひろあき)さんに依頼し、此花区の防災まち歩きを実施しました。

 淀川沿いから六軒家川を巡る約5kmのコースを、多田さんの解説を聞きながら、あんじゅ編集部が歩きました。

 

多田裕亮(ただひろあき)さん

防災士。明石工業高等専門学校在籍時から防災団の立ち上げに関わり、防災ゲームを開発。
大学進学後は大阪の防災意識向上を目的とした任意団体「大阪防災プロジェクト」を設立。淀川右岸水防団に所属。

 

マップはイメージです
1防潮鉄扉/淀川左岸堤防

赤い部分が防潮鉄扉。線路が敷かれた橋梁が堤防より低く、堤防が途切れている。開閉は地域の水防団が行う。
現在、橋梁架替え工事が行われており、防潮鉄扉が必要なくなる高さになる。

橋梁架替え工事

 

淀川の左岸堤防を歩きます

 

2伝法水門/伝法川

伝法川と淀川の合流地点にあるのが伝法水門。伝法川は埋め立てられ、水門から続く水路と船溜まりがその名残り。
伝法水門は遠隔操作が可能で、閉じる際には赤い部分が真下に降りる。

 

フェンスの向こう側が船溜まり

 

3備前橋跡の碑/伝法川

日本仏教上陸の地、なにわ津の船寺「傳法山西念寺」の門前にある「傳法山門前 備前橋跡」の碑(右)。
かつて伝法川が門前を流れ、「備前橋」がかかっていた。水運が主流の尼崎街道の「大坂道」の碑も。

 

4 避難誘導標識

「広域避難場所」「津波避難場所」「津波避難ビル」など、防災に関する標識を見つけたら何が書いてあるか確認する。
避難所の収容人数には限りがあるため複数の避難場所を知っておくことが大切。

 

5 正蓮寺川公園/正蓮寺川

正蓮寺川は暗渠化され、地下を通る阪神高速2号淀川左岸線の脇を流れる。地下道路の真上は正蓮寺川公園として整備され、市民の憩いの場となっている。
園内には整備前の川の様子がわかる空中写真がある。大雨時に雨水を一時貯留して、下水道へ流す役目を持つ。
公園は森巣橋から千鳥橋を越えて、六軒家川との合流地点まで続く。

 

とても広い正連寺川公園
1948年の航空写真。暗渠となった正連寺川の様子がわかる。
地下化した阪神高速の非常出口も公園内のあちことに。
大雨の際に雨水が貯留することを知らせる看板。
たくさんの子ども達が遊びに来ていました。

 

6津波避難場所

正蓮寺川公園の端にある小高い丘の上のグラウンドが「津波避難場所」に指定されている。
低い土地が多い大阪ではより高いところへの垂直避難も意識したい。

中央にあるのがグラウンド。
避難マークと同じポーズをとってくれました。

 

7 堤防耐震対策化工事/六軒家川

地震による液状化現象を防ぐための堤防耐震対策化工事が、大阪府内全域で行われている。
六軒家川も両岸の堤防が工事中。耐震化が完了した部分と工事中の部分、どちらも見ることができた。

 

防潮堤を強化していることを知らせる看板の前で。

 

耐震化対策工事中の様子と頭上を走る阪神なんば線。
耐震化対策工事を終えた防潮堤の様子。
8 六軒家水門/六軒家川

大阪の治水は(1)高い堤防、(2)大水門の大きく2つの方法で行われている。六軒家水門は(2)大水門の一つ。
水門を境に、上流側は堤防が低く、海側はかなり高くなっている。は(1)高い堤防による治水。

 

ゴールはこの六軒屋水門。水門の向こうは海。

 

 今回は此花区で、暗渠となった川、埋め立てられた川など土地の歴史を交えながら、治水や避難に適した場所などを知るコースを考えました。

約2時間で5kmほどを歩きました。避難経路なのに車の通行量が多く、歩道が狭くて危険な道があるなど、歩いたからこそ気づけたこともありました。

 

防災まち歩きでは、災害に備えるための具体的な知識を得ることに加え、まちの特徴や魅力を知る楽しさも大切です。

私は歴史に興味があるので、寺社仏閣があれば由来を調べたり、なにげなく残された堤防の痕跡を探したりしてまち歩きのコースを作っています。

 

水の都と呼ばれるほど川は大阪の魅力の一つです。一方で、水害からしっかりとまちを守らなくてはなりません。
私は水防団に所属していますが、あちこちで高齢化が叫ばれています。

防災まち歩きなどをきっかけに、地域の防災にも興味を持っていただけると嬉しいです。