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住宅ローンの新たな選択肢 「残価設定型住宅ローン」とは?
住宅価格の上昇が続く中、近年、「残価設定型住宅ローン」と呼ばれる住宅ローンが登場しています。今回は、その仕組みやメリット・デメリットについて、ファイナンシャル・プランナーの内宮先生にお聞きしました。
内宮 慶之(うちみや よしゆき)さん
CFP認定者
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
J-FLEC認定アドバイザー・講師
◆残価設定型住宅ローンとは
残価設定型住宅ローンとは、あらかじめ数十年後の「残価(想定資産価値)」を設定し、総借入額からその残価を差し引いた「残りの金額」を毎月分割で返済していくローン制度のことです。自動車の「残価設定型クレジット(残クレ)」の仕組みを住宅に応用したもので、国土交通省主導のもと、日本の住宅市場の流動化や若年層の負担軽減を目的としています。
□3つの根幹的定義
•残価の据え置き
数十年先の売却想定価格(残価)を金融機関があらかじめ保証し、その分の元金返済を最終回まで据え置きます。
•月々の返済軽減
据え置いた残価の分だけ毎月の元金返済額が少なくなるため、通常の住宅ローンよりも月々の負担を大幅に抑えられます。
•最終回の柔軟な選択肢
ローン期間満了時には、「住宅を手放して残債を相殺する」「残価を支払って買い取る」「期間を延長して住み続ける」などの選択が可能です。
◆メリット及びデメリット
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比較項目 |
メリット(利点) |
デメリット(注意点) |
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毎月の返済 |
残価を引いた分、月々を安く抑えられる |
据え置いた残価分にも金利(利息)がかかる |
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総返済額 |
短期で手放すなら支出を最小化できる |
長く住み続けると総返済額が高くなりやすい |
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将来のリスク |
将来の買取り額(残価)が保証され安心 |
途中で自由に売却・リフォームがしにくい |
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物件の選択 |
質の高い最新の家に住むことができる |
長期優良住宅など対象物件が限定される |
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最終回の選択 |
家を返す・住み続けるなど柔軟に選べる |
最終的に自分の資産にならない場合がある |
◆継続的に必要となるメンテナンスやリフォームの制限
□必要なメンテナンス
定期的な点検と補修が必須です。具体的には外壁や屋根の防水塗装、水回りの設備交換など、家の価値を下げない修繕を行います。長期優良住宅の基準維持や、指定業者による施工が条件となるケースが一般的です。
□リフォームの制限
リフォームには一定の制限が課されており、将来の残価保証や長期優良住宅の基準維持のため、事前に保証機関の承認が必須です。大幅な増改築(減築)、耐震壁の撤去、二世帯住宅への間取り変更など、指定業者による施工や原状回復が求められます。
◆残価設定型住宅ローンに“向いている人”と“向いていない人”
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向いている人 |
向いていない人 |
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・毎月の返済額を抑えたい人 |
・終の棲家として完済したい人 |
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・老後は住み替える予定の人 |
・子どもに家を相続させたい人 |
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・売却損のリスクを避けたい人 |
・自由にリフォームを楽しみたい人 |
※残価設定型は住み替え前提の人に向く一方、資産として残したい人には不向きです。
◆ローン終了後の主な選択肢
•家を手放す:家を引き渡して残価と相殺する。
•自分のものにする(完済):残価を一括または再ローンで支払い、買い取る。
•そのまま住み続ける:家は売却し、家賃を払う借家人として住み続ける。
◆国の支援施策 等
国(国土交通省)は保険制度の創設や中古住宅市場の整備を通じて残価設定型住宅ローンの普及を支援しています。しかし、将来価値の予測の難しさや融資コストの高さなどから、現時点では取り扱う金融機関は限定的です。
残価設定型住宅ローンは、返済負担を軽減できる一方で、将来の住み方や資産形成に大きく関わる制度です。メリットと注意点を理解したうえで、自身のライフプランに適しているかを判断し、必要に応じて専門家に相談しながら検討しましょう。
(住まいに関する相談はこちらを参照)