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大阪市 住まいのガイドブック あんじゅ

誌面セミナー 住まいの維持管理 住まいのリフォーム

住まいの環境は住まう人の心身の健康状態に大きくかかわっています。住み慣れた快適な家に長く、安心して住まい続けるためのリフォームや、省エネを意識したリフォーム、空き家活用のためのリフォーム、事業者選びのポイントなどについてご紹介します。

 

教えてくれたのは

公益社団法人大阪府建築士会
住宅を設計する仲間達所属
建築士
角 直弘(すみ なおひろ)さん

 

健康的な生活環境をつくる省エネリフォーム

 

近年の夏は酷暑が長く続き、かつ電気代は高くなっています。電気代を抑えるためにエアコンを我慢すれば熱中症のリスクが高まり、とても危険です。一方、寒さにも危険はあります。居室と浴室など住まいの中の寒暖差は体に負荷をかけ、ヒートショックを起こす可能性もあります。 

 

住まいの省エネ化と人の健康は密接に関係しており、リフォームによって日々の暮らしがより快適になります。壁や天井、床下をしっかりと断熱することや、浴室暖房・高効率のエアコンを取り入れるといった方法があります。

 

断熱材の追加は、壁を剥がすなど住まいながらの工事が困難な場合もあります。一方で、取り組みやすい省エネリフォームの一つが、内窓の設置です。比較的施工しやすく、温度変化に加え音も軽減されます。また、空気の質を保つための換気扇には全熱交換器換気扇を使用すると、暑い/冷たい外気を取り入れずに空気交換をしてくれます。

 

災害に備えるリフォーム

 

大阪市では「民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度」を設けています。古い建築基準法が適用された住まいは、かなり地震に弱い場合もあります。特に2000年5月末以前に建てられたものは、耐震診断を受けることをおすすめします。耐震診断の結果によって、耐震改修設計、耐震改修工事を実施することが重要です。

 

住宅は対象となりませんが、大阪市では2021年12月に発生したビル火災をきっかけに、「既存建築物火災安全対策改修支援事業」も行っています。避難上有効なバルコニーの設置や直通階段増設等にかかる改修費用の補助です。

 

省エネリフォームや耐震改修、防火対策は空き家活用のための改修においても重要です。空き家を改修し、賃貸住宅や貸店舗・貸事務所、地域活動の場などとして活用している事例が多くあります。

 

リフォームの見積りは細かく確認を

 

リフォームを決めたら、まずは業者の選定が必要です。リフォーム専門の会社やホームセンター、工務店など様々な業者があります。工事において必須かどうかにかかわらず、建設業許可証/建築施工管理技士/増改築相談員/建築士など、業者ごとに保持する資格や、事業登録の有無を確認しましょう。

 

トラブルを避けるために、特に大切なのが見積りです。必ず、詳細な項目を提示してもらいましょう。「○○一式」といった記載がある場合は、納得がいくまで具体的な説明を聞くことが大切です。契約書や保証内容、アフターサポートの体制なども確認しておくとよいです。

 

2025年4月に建築基準法が改正されました。業者を選ぶ際には、最新の技術や法律に関する知識があるかどうか、要望の聞き取りや提案が丁寧に行われるかといった点も大切なポイントです。

 

リフォームは建て替えよりもCO²排出量を抑えつつ、快適な住まいをつくることができる方法です。補助金なども活用し、ぜひ取り組んでみてください。

 


大阪市「民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度」

大阪市「既存建築物火災安全対策改修支援事業」