館長からのメッセージ -開館25周年を迎えて-
大阪市立住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は、2001年4月26日に開館し、このたび25周年を迎えることになりました。これまで本当に多くの皆さまにご来館いただき、またさまざまなかたちで支えていただきましたことに、心から感謝申し上げます。
当館は、大阪の人びとの住まいと暮らしの移り変わりをテーマとするミュージアムです。江戸時代の大坂の町並みを実物大で再現した展示や、明治・大正・昭和へと変化する都市大阪の姿を紹介する模型・資料展示などを通して、身近な生活の視点から、大阪の歴史と文化に親しんでいただける場をめざしてきました。
大阪は商いのまち、人情のまちとして語られることが多い一方で、長い歴史のなかで多様な文化を育み、さまざまな人びと集まって、住まい方や暮らしの知恵を積み重ねてきた都市でもあります。町家や長屋、路地の空間、祭りや年中行事、助け合いのしくみなど、住まいと暮らしのなかには、大阪という都市の魅力が息づいています。
住まいは、単なる建物ではなく、そこに暮らす人びとの知恵や工夫、家族の営み、地域とのつながりを映し出すものです。まちの姿や生活のあり方には、その時代ごとの文化や価値観があらわれます。当館では、そうした住まいと暮らしの歴史を通じて、大阪という都市の奥深さや魅力を感じていただければと願っています。
展示空間では、町家のたたずまい、路地の雰囲気、季節のしつらい、にぎわいの気配など、写真や文字だけでは伝わりにくい“空間の記憶”にも触れていただけます。着物体験や町家衆による活動、企画展や催しなども、今昔館ならではの楽しみの一つです。何度訪れても新しい発見がある場所でありたいと考えています。
また、学校の体験学習や地域との連携にも力を入れてきました。子どもたちが昔の暮らしを学び、大人の方々が大阪の歴史をあらためて見つめ直し、海外からのお客さまには大阪らしい文化に出会っていただく――そのように、世代や地域、国をこえて多くの人が集う場となってきたことをうれしく思います。
25周年は一つの節目ですが、これまでの歩みをふり返ると同時に、新たな出発点でもあります。これからも、大阪の住まいと暮らしの文化を未来へ伝え、皆さまに学びと発見、そして楽しさを感じていただけるミュージアムであり続けたいと思います。
どうぞこれからも、大阪くらしの今昔館をよろしくお願いいたします。皆さまのお越しを待ちしております。
2026年4月
大阪市立住まいのミュージアム
館長 増井 正哉